当たり前のようで知らないと損する中小法人の節税対策5選
決算が近づくと「今期は思ったより利益が出そうだ、何か手を打てないか」と考える経営者は多いはずです。しかし節税と一口に言っても、グレーな手法やリスクの高い保険商品を勧められるケースも少なくありません。この記事では、税理士として自信を持っておすすめできる、合法かつ実務で使われている法人の節税対策を5つ厳選してご紹介します。
そもそも節税とは?
節税は、税法が認める範囲内で税負担を適法に減らすことです。法律の抜け穴を突く「租税回避」や、違法な「脱税」とは明確に異なります。今回ご紹介する5つは、いずれも国税庁・法人税法上の根拠が明確な、正攻法の対策です。
対策①:経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)を活用する
取引先の倒産リスクに備える共済制度ですが、節税策としても非常に人気があります。
- 月額5,000円〜20万円(5,000円刻み)で自由に設定可能
- 累計800万円まで積み立て可能
- 掛金は全額損金算入
小規模企業共済などと違い「掛け捨て」ではありません。40ヶ月以上納めれば、解約時に掛金全額が戻ってきます(ただし解約時の受取額は益金として課税されるため、利益が少ない期に解約するなど出口も含めて設計しましょう)。
注意)2024年10月の改正で、解約後2年以内に再加入した場合の掛金は損金算入できなくなりました。初めて加入する場合は問題ありません。
対策②:社宅制度で役員・従業員の実質手取りを増やす
会社が社宅を借り上げ、役員・従業員に貸与する制度です。会社が負担する家賃を経費にしながら、個人の税負担・社会保険料負担も軽減できる一石二鳥の対策です。
賃貸料相当額(給与課税されないための最低徴収額)は、次のいずれかで算出します。
| 対象 | 徴収すべき最低ライン |
|---|---|
| 役員 | 賃貸料相当額、または家賃の50%のいずれか高い方 |
| 従業員 | 賃貸料相当額の50%以上 |
導入のポイントは以下の3点です。
- 契約は必ず法人名義で結ぶこと(個人契約では社宅と認められません)
- 賃貸料相当額を計算し、就業規則等で徴収ルールを明文化すること
- 徴収額が不足すると、その差額が給与として課税されるため要注意
対策③:短期前払費用の特例で費用を前倒し計上する
法人税基本通達2-2-14に基づき、1年以内に受けるサービスの対価を、支払った期にまとめて損金算入できる特例です。
たとえば家賃や保険料、サーバー使用料などを「1年分前払い」すれば、本来なら翌期以降に分割計上される費用を、当期の損金として一括で落とせます。
- 契約に基づき、継続的・同質・同量のサービス提供であること
- 一度採用したら、毎期継続して同じ処理をする必要があること
- 借入金の利息など、収益と対応させるべき費用は対象外
「今期は利益が出そうだ」というタイミングで、来期分の家賃や保険料を前払いする、という使い方が典型的です。
対策④:出張旅費規定を整備し、日当を非課税で支給する
出張旅費規程を整備し、実費精算に加えて「日当」を支給する仕組みです。要件を満たせば、会社は全額損金、受け取る役員・従業員は非課税という、双方にメリットのある対策です。
非課税と認められるための考え方(所得税基本通達9-3)は以下の2点です。
- 役員・従業員全体を通じて、適正なバランスが保たれた金額であること
- 同業種・同規模の他社と比較して、社会通念上相当と認められる金額であること
高すぎる日当設定は、税務調査で経費性を否認されるリスクがあります。規程を整備する際は、会社の規模や出張実態に見合った金額かどうか、慎重に検討しましょう。
対策⑤:決算賞与を未払計上して当期の損金にする
利益が想定より多く出た決算期に、賞与という形で従業員に還元しながら法人税を圧縮できる対策です。
未払のまま当期の損金にするには、次の3要件をすべて満たす必要があります。
- 決算日までに、支給額を各従業員に個別に通知していること
- 通知した金額を、当期の損金として経理していること
- 決算日の翌日から1ヶ月以内に、通知した全員へ実際に支払うこと
キャッシュを社外に流出させず、従業員還元と節税を同時に実現できる、決算対策の定番です。
まとめ:節税は「知っているか知らないか」の差
| 節税対策 | 効果の目安 |
|---|---|
| 経営セーフティ共済 | 掛金全額を損金算入(累計800万円まで) |
| 社宅制度 | 家賃の一部を会社経費化、役員・従業員の手取り増 |
| 短期前払費用の特例 | 1年分の費用を当期に前倒しで損金算入 |
| 出張旅費規定 | 日当は損金算入かつ受取側は非課税 |
| 決算賞与の未払計上 | 賞与を当期の損金として計上可能 |
節税対策の多くは「知っているかどうか」で資金繰りや留保できるお金に差がつきますので、是非ともご検討ください。
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